この記事でわかること
今週も明るく、元気に、真剣にがんばります!
さて、今回は「睡眠と体臭の関係」についてのお話です💁♀️
汗ばむ季節になると体のニオイが気になる人も多いのではないでしょうか。
体質や睡眠、生活習慣によって体臭が強くなることがありますが、体臭の発生原因、対策と予防のポイントをお話していきます。
そもそも体臭とは?
人の体は、常にエネルギーを消費しているので、起きていても寝ていても運動しても動かなくても暑くても寒くても汗をかきます。
体質、体格、性別、年齢によっても汗のかき方は、人それぞれ異なりますが、発汗には2つのタイプがあります。
温熱性発汗
手と足の裏をのぞく全身に汗をかき、その汗が蒸発することで身体を冷やし、体温を一定に保つための汗で人の身体に備わった機能です。
精神性発汗
緊張、不安、焦りなどによる精神的なもので脇と手、足の裏に短時間かく汗とされています。
汗の成分の99%は水分のため、もともとニオイはありません。
体臭を生み出すのは汗そのものではなく、皮膚にすみついている雑菌(皮膚常在菌)です。
皮膚には、表面1cm当たりに20〜30種類、数十万個の細菌が存在するといわれおり、肌を乾燥や病気などから守っています。
これらの皮膚常在菌は、皮脂や角質に汗が混ざった物を栄養源として増殖します。
その際に発生する脂肪酸などのにおい物質が汗のにおいとなる「体臭」です。
緊張やストレスを感じたとき、辛い物を食べたときなどにも汗が出ますが、分泌されたばかりの皮脂や汗はほぼ無臭です。
時間が経って皮膚常在菌が作用することにより、これらに含まれる脂質やタンパク質、アミノ酸などの成分が酸化、分解されて不快なニオイのするガス(揮発性成分)を発するようになります。
また、特定の食品を過剰摂取等した場合、食品成分から代謝生成された一部の揮発性成分は、汗腺や皮脂腺を通してガスとして出され、臭いの原因になることも報告されています。
汗や皮脂によってニオイは違う?
汗がでてくる汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類があります。
エクリン腺は、ほぼ全身に分布しており、暑いときや運動したときなどにかくサラサラとした汗を分泌します。
エクリン腺からの汗(エクリン汗)は、約99%が水でほかは塩分やアミノ酸、尿酸などです。
汗をかいて汚れがつくと菌が増殖しやすくなり、時間とともにアミノ酸などが分解されて体臭が発生します。
一方、アポクリン腺は主にワキや性器周辺などにあり、分泌される汗(アポクリン汗)は、水のほかにタンパク質や脂質、脂肪酸など、独特のニオイのもとになりやすい成分を多く含んでいます。
ニオイに男女差がある
体臭中に検出される揮発性のニオイ成分も女性よりも男性に多く含まれていることが知られており、男性の体臭は同性よりも女性がより敏感に感じるという研究結果もあります。
また、女性ホルモンには汗を抑える役割があります。
閉経前後に女性は非常に汗をかきやすくなるのは、女性ホルモンが低下するためと考えられます。
ニオイが発生しやすい部位
【わき】
汗そのものは無臭ですが、皮膚に存在する菌が汗を分解することで、独特なニオイやツンとした酸化臭になります。
さらに細菌によって分解された脂肪酸などの物質と混ざることで「ワキガ臭」が発生し、皮脂と混ざることでさらにニオイが強くなります。
【あし】
足の裏には背中や胸に比べて5〜10倍の汗腺があり、1日にコップ1杯ほどの汗をかきます。
さらに足の裏は、体で最も角質が厚い部分のため、靴下や靴で密封された中で汗が蒸発せずにこもると角質がはがれ落ち、それを栄養分として雑菌が繁殖することで足のにおいが発生します。
【頭皮】
整髪剤や毛穴につまった皮脂が混ざり合ったり、過剰に分泌された皮脂やフケをエサにして雑菌が繁殖することによってニオイを発生させます。
【加齢臭】
この2つが結びつき分解・酸化されると「ノネナール」というにおい物質が発生し、「加齢臭」のもととなります。
加齢臭は男性特有のものと思われがちですが、女性も同様に発生します。
男性は40〜60代、女性は更年期後の60代以降に強くなる傾向があります。
また、加齢臭は皮膚表面だけでなく、毛穴から出ることもあります。
年齢と共に腸の機能が低下すると老廃物としてにおい成分が多く生成されます。
通常は肝臓で無臭化されますが、肝臓の機能も低下すると血液と共に体内のにおい成分が全身を巡ります。
これが毛穴から出ると体臭となってニオイを放つようになります。
睡眠と体臭の関係とは?
美容や心身の健康のためにも十分な睡眠時間を確保して質の良い睡眠をとることが大切です。
しかし、睡眠不足になると自律神経が乱れ、基礎代謝が低下し、老廃物や毒素が体内に蓄積されやすくなります。
睡眠不足で交感神経の緊張により肝臓機能が低下すると体内のアンモニアが正常に分解されないため、体内に残ったアンモニアが汗の成分となって流出し、体臭が強くなると考えられています。
自律神経はすべての器官を支配しているため、多くの症状があらわれます。
・冷房がきいている場所でも汗をかく
・顔や体がほてり吹き出すような汗をかく
・脇や手のひら、足の裏に大量の汗をかく
・動悸と発汗が同時におこる
なかには「何もしていないのに異常なほど汗をかく」といった多汗症状が多くみられます。
また、睡眠不足はストレスを感じやすくなり、副腎皮質ホルモンの分泌によって体臭の元となる物質が増えてしまいます。
それが現代型の隠れストレスで「ストレス臭」の原因になっていると考えられ、睡眠不足やストレスでの暴飲暴食や生活習慣病に繋がり、肥満、高血圧、高血糖などの原因にもなります。
日頃からきちんと睡眠をとって疲労回復やストレスを軽減させるようにしましょう。
体臭の対策と予防とは?
規則正しい生活を
肉を中心とした食生活や運動不足は、ニオイのもとになる皮脂を増やし、ストレスは過酸化脂質をつくる活性酸素を増加させるので注意が必要です。
また、過度なダイエットも体臭が発生したり、タバコはニオイが体に染みついて体臭を強くしたりする場合もあります。
アルコールを飲み過ぎると体臭が強くなることもあるので、摂取する頻度や量には気をつけるようにしましょう。
皮膚を清潔に保つ
これらの過剰な分泌や増殖を抑えることは体臭の予防のために大切です。
寝る前の入浴や出かける前にシャワーを浴び、体臭、汗臭を防ぐ効果のある薬用石けんなどで体を洗って雑菌の繁殖を防ぎ、皮膚を清潔に保ちましょう。
制汗剤もおすすめですが、汗腺をふさぐことで汗の量を減らすため、広範囲の汗腺をふさがないよう部分的に短時間で利用するようにしましょう。
こまめに汗を拭きとる
汗や皮脂を放置すると体臭だけではなく、雑菌が繁殖することで汗疹(あせも)、かゆみ、湿疹、肌荒れ、ニキビなどの原因にもなります。
汗をかいたら濡れタオルや汗拭きシートなどで汗の成分や雑菌、皮脂汚れをこまめに取り除きましょう。
衣類に汗が染みると雑菌が繁殖しやすくなるので、わき汗パッドや消臭作用のある衣類などを上手に活用するようにしましょう。
衣類や寝具の洗濯、クリーニング
衣類には、体から出る皮膚の常在菌が付着します。
これらの雑菌が同じく衣類や寝具に付着した皮脂や汗、タンパク質の汚れなどを栄養分にして繁殖し、臭いを発生させます。
つまり、皮膚で発生する体臭や加齢臭が、脱いだあとの洗濯物でも同じように発生するということになります。
衣類や寝具についた汚れの性質を化学的に分類すると汚れの9割は「酸性」になります。
汗や皮脂は時間が経つと酸っぱいニオイがするので「酸性」となり、酸性の汚れにはアルカリ性の洗剤を使って中和することで落ちます。
ですが、アルカリ性の洗濯洗剤で汚れを中和しようとしても浸透力が弱く、繊維の中に皮脂汚れが入り込んでいると完全に落とすことが難しいです。
石鹸は合成洗剤も弱アルカリ性で界面活性剤が含まれています。
界面活性剤は浸透力が高く、本来は水に溶けないアブラ汚れを包んで粒にして水に溶かすことで、繊維の中に染み込んだ皮脂汚れをしっかりと落とすことができます。
衣類の襟・わき・袖口はとくに角質や皮脂がつきやすく繊維の奥の方に入り込んでいることが多いため、洗濯機で洗う前に固形の洗濯用石けんで部分洗い(予備洗い)することで衣類の消臭対策に効果を発揮します。
この記事の結論は?
体臭を防ぐには、栄養バランスや睡眠時間などの生活習慣に気を配り、腸内環境を整えるなどでニオイの原因となる物質の発生を抑制することが有効です。
ただし体臭やワキガには、隠れた病気や疾患などが原因になっている可能性があるため、多汗症状やニオイが強い場合は、早めに専門医への相談・治療をおすすめします。
自分の体臭は気づきにくいからこそ、意識的にニオイケアをすることが大切です。